こんにちは、ぺぐです!
みなさんは、合成生物学という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
もし高校・大学時代に生物や化学を学んでいた方であれば、細胞生物学、分子生物学、生命科学、、、などの言葉には馴染みがあるかもしれませんが、合成生物学というのはあまりピンとこない方が多いのではないでしょうか。
今回はそんな「よくわからん」「けどなんかヤバそう」な雰囲気を醸し出す合成生物学について紹介したいと思います。
合成生物学とは何か
合成生物学は、生物学的システムを設計し、再構築することを目的とした学問分野です。
遺伝子や細胞レベルでの生物の基本的な構成要素を組み合わせ、改変することによって、自然界に存在しない新しい生命形態や機能を創出します。この技術は、医薬品開発、環境保護、エネルギー生産など、多岐にわたる分野に応用が期待されています。
これだけ聞くと、マッドサイエンティスト感がとんでもないですね(笑)
合成生物学の歴史とAI技術の活用
合成生物学の歴史は20世紀初頭に遡りますが、2000年代に入り、急速に発展し始めました。
特に、2003年にヒトゲノムプロジェクトが開始されたことで、生命設計図にアクセスでき、研究者たちは生命の基本要素を自在に操る道を得ました。
さらにDNAシーケンシング技術の進歴やCRISPR-Cas9などのゲノム編集技術の登場により、遺伝子をデザインし操作することが現実的になりました。これらの技術進化は、合成生物学の研究に大きな推進力を与えています。
合成生物学の発展には、生物系の理解を深め、より効率的な設計が可能になるAI技術の進歩が役立ちます。AIは、複雑な生物学的データからパターンを抽出し、新しい生物学的パーツやシステムの設計を助けます。
例えば、機械学習アルゴリズムは、遺伝子配列のデータベースを判断し、特定のタンパク質がどのように機能するかを予測するのに使用します。これにより、合成生物学者は特定の機能を持つ生物を「設計」し、必要な遺伝子やタンパク質の組み合わせをある程度特定できます。
さらに、AI は合成生物学の実験プログラムを加速させる役割も担っています。自動化されたラボ設備と AI 技術を使用することで、使用するものが異なる実験条件下で生物学的実験を実行し、最適な条件を迅速に指定できます。これにより、新しい生物学的要素の開発サイクルは短縮され、効率的な製品開発が可能となりました。
確かに、生命のDNAもある意味「プログラム」と言えるもんね。
データ量が膨大なのでこれまでも最新のコンピュータ技術が研究に使われてきたけど、近年のAI技術の発展でさらに研究が最適化されていっているんだね!
合成生物学の学会
世界中には多くの合成生物学関連の学会が存在し、この分野の研究者や実業家が交流し、最新の研究成果や情報を共有する場を提供しています。
代表的な学会には、アメリカ合成生物学会(Synthetic Biology Society of America)やヨーロッパ合成生物学会(European Synthetic Biology Society)があります。
合成生物学に関する企業
1.Ginkgo Bioworks (ギンコバイオワークス)
Ginkgo Bioworksはアメリカのボストンに本拠を置くバイオテクノロジー企業で、生物学的エンジニアリングを通じて微生物を設計し、様々な産業に応用しています。
それら合成生物学プラットフォームを利用して、化学品、抗体、食品成分などの生産に革新を与えています。Ginkgoは、企業とのコラボレーションを通じて、合成生物学の商業的応用を推進しています。
[Ginkgo Bioworks の公式サイト]
2.Twist Bioscience(ツイスト バイオサイエンス)
Twist Bioscience は、合成 DNA の製造に特化した企業で、合成生物学の分野で地位を持っています。
彼らの技術は、遺伝子合成、データストレージ、バイオファーマ、農業など幅広い分野に応用されています。効率的な DNA合成技術で、研究と治療の進歩に貢献しています。
[Twist Bioscience の公式サイト]
3.Zymergen (ザイマージェン)
Zymergen は、合成生物学を利用して、農業、化学、材料科学分野で使用される微生物ベースの製品を開発しているアメリカ初の企業です。
データサイエンスとロボティクスを組み合わせた独自の技術で、持続可能な製品開発を加速させています。
そして、自然界に存在しない新しい材料や化合物を生み出すことを目指しています。
あのソフトバンクも出資していましたが、2022年、上で挙げたGinkgo社が買収を発表しました。
4.Amyris(アミリス)
Amyris は、アメリカに本社におくバイオテクノロジー関連会社で、2003年に設立されました。
2004年にはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団からマラリア治療に用いられるアルテミシニン分子の開発のための助成金を受けるなど、合成生物学の知見を早い時期から社会貢献に向けて発信してきました。
合成生物学上の化粧品、栄養補助食品、エネルギー製品の開発を行っており、糖から高価値の化合物を生成する技術を用いて、持続可能な化学製品の代替品を生成すると言われています。
Amyris は、自然由来の成分を使用した環境に優しい製品を生産することで知られています。
[Amyris の公式サイト]
5.Viridos (旧:Synthetic Genomics)
Viridos(旧:Synthetic Genomics)は、ゲノム編集と合成生物学の技術を駆使して、エネルギー、農業、医薬品分野で革新的なソリューションを提供する企業です。
特に、藻類を利用したバイオ燃料の開発に力を入れており、持続可能なエネルギー源の創出を目指しています。
日本でも、様々な化学メーカーが藻類を利用したエネルギー、プラスチック原料などの開発に力を入れているよね!
[Viridosの公式サイト]
合成生物学の市場規模
2021年のデータによると、合成生物学のグローバル市場規模は約100億ドルに達しており、今後も高い成長が見込まれています。
この成長は、医薬品、バイオ燃料、農業、化学品など、幅広い分野での合成生物学技術の応用が進んでいることに起因しています。特に、遺伝子編集技術の進展や合成DNAの製造コストの低下が市場拡大の主要な要因となっています
今後もさらに拡大・発展することは間違いないね!
合成生物学の将来展望
合成生物学の将来は極めて明るいとされています。疾患治療の革新、環境問題への対応、持続可能な生産システムの開発など、社会的課題の解決に貢献できるポテンシャルを持っています。さらに、AIとの融合による研究の進化も期待されており、未来の生物学が大きく変わる可能性があります。
まとめ
合成生物学は、その可能性と応用範囲の広さから、科学技術の未来を大きく左右する分野です。今後も技術の進化に注目し、その社会的な影響や倫理的な考慮も含めて、継続的に議論を深めていくことが重要でしょう。
この記事が合成生物学に関する基本的な理解を深める助けになれば幸いです。
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