こんにちは、ぺぐです!
最近読んでいた「GenesisMachine」という合成生物学の本の中で、米Amyrisについて書かれている章がありました。以前合成生物学の主要企業としても紹介した同社が、やはりこの分野を知るうえで重要な位置を占めていることがわかり、改めて情報を整理したいと思った次第です。
アミュリス |バイオテクノロジーカンパニー (amyris.com)
Amyris(アミリス)とは?
Amyrisは、合成生物学を駆使して持続可能な製品を開発する企業です。その技術と製品は環境保護や人々の健康向上に大きく貢献しています。
たとえばAmyrisは、植物由来の成分を使って、クリーンな化学物質を生産し、日常生活に役立つ様々な製品を提供しています。
例えば、化粧品、香料、健康食品、バイオ燃料などがあり、そのすべてが持続可能性を重視した方法で作られています。
Amyris(アミリス)社の歴史
創業背景
Amyrisの創業は、合成生物学(生物のシステムを設計・構築する技術)の研究者たちによるもので、最初はマラリアの治療薬を開発するために始まりました。
2004年にはBill & Melinda Gates Foundationの支援を受けることが決まり、抗マラリア薬「アルテミシニン」の生産を開始しました。これは、合成生物学の技術を使って、マラリア治療に必要な成分を大量に生産するという革新的な試みでした。
GenesisMachineでは、当時の中国漢方を利用したマラリア薬とのいざこざがとても興味深く書かれていて、非常に面白かったですね。
上場と成長
2010年にAmyrisはNASDAQに上場し、その後も新技術の導入とパートナーシップを通じて急成長を遂げました。例えば、2013年には大規模なアルテミシニン生産を開始し、これにより多くの命を救うことができました。
研究開発開始から大規模生産化までは、10年近い年月を要したんだね!
主な流れ
- 2003年:創業
- 2004年:Bill & Melinda Gates Foundationの支援を受ける
- 2010年: NASDAQに上場
- 2013年: アルテミシニンの大規模生産開始
- 2018年: Reb M甘味料分子の商業化とFirmenichとの新しい香料分子のパートナーシップ形成
- 2020年: Bonsucro認証を取得し、持続可能なサプライチェーンの確立に貢献
- 2023年: 事業再編を通じて、コアビジネスに集中。
Amyris(アミリス)の製造品目や研究内容
香料とフレグランス
Amyrisは、天然由来の香料を製造し、主要な化粧品ブランドに供給しています。これにより、化粧品業界における持続可能な成分の需要に応えています。
化粧品成分 日光ケミカルズと合弁会社!
Amyrisは、BiossanceやPipetteなど、クリーンビューティー市場向けの製品を展開しています。これらの製品は、環境に優しい成分で作られており、消費者に安心して使ってもらえるものです。
この分野では日本の企業である「日光ケミカルズ」社と2017年に合弁会社を設立しており、「NIKKOL シュガースクワラン」や 「NEOSSANCE HEMISQUALANE」(水添ファルネセン)といった、サトウキビを出発原料とした高付加価値かつ持続可能なパーソナルケア用途の原料を開発・生産していっているようです。
日本企業とのタイアップもあるんだね!気になる。
Amyris社との合弁会社の社名が「Aprinnova」に決定 | 日光ケミカルズ株式会社 (nikkol.co.jp)
健康食品
AmyrisのPurecaneは、自然な甘味料として人気があります。この製品は、健康志向の消費者に向けて開発され、砂糖に代わる健康的な選択肢を提供しています。
バイオ燃料
環境に優しい燃料を開発し、持続可能なエネルギー供給に貢献しています。Amyrisの技術により、再生可能な資源からバイオ燃料を生産することが可能です。
バイオ燃料については、完全子会社である「Amyris Fuels」にて製造・販売を行っているようです。
2016年、Amyris Fuelsはキャセイパシフィック航空と提携して、トゥールーズから香港への航空便にAmyrisの再生可能ジェット燃料を使用したようです。
破産申請?最近の動向と将来展望
事業再編と今後の計画
2023年、Amyrisは事業再編を行い、コアビジネスに集中する戦略を打ち出しました。この再編により、持続可能な製品の開発をさらに加速させる計画です。
Amyrisと調べると、「破産申請」や「bankruptcy」といったワードが検索欄にでてきたため、あれ?と思いましたが、要は「本体は研究開発に専念」して、消費者向け製品の開発生産は子会社や合弁会社に移管する、という内容でした。
そのため、前に述べてきた「日光ケミカルズ」社との提携や、「Amyris Fuels」などの事業子会社の存在が大きいというわけですね!
あれもこれも1社で完結するのではなく、それぞれの役割を明確にして全うするという考え方だね。
AMYRISが戦略的変革を推進するための事業再編と財務再編を発表 |ナスダック (nasdaq.com)
アミリス、戦略的変革計画の一環として破産申請 (newspicks.com)
その他のパートナーシップ
Amyrisは前述のような合弁会社だけではなく、様々な企業と共同研究もおこなっています。
少し前の話になりますが、クラレも同社へ出資・提携していたようです。
バイオポリマーに関する研究のようですね。
~米Amyris Inc. (アミリス社)と提携強化~ 新規バイオ系液状ゴムの開発を加速 ~バイオ原料を使用してタイヤの低燃費化に貢献~ | kuraray
バイオポリマーといえば、こちらの記事で詳しく紹介しているのでぜひご覧ください。
コメント