人間が活動するために重要な栄養素である「糖質」。もちろん、筋トレで筋肉を増やしていくためにも大変重要な役割を持っています。
今回はそんな糖質の役割から、効果的な摂取方法について解説していきます。
- 筋肉をつけたいけど、どんなことを意識すればいいの?
- そもそもなぜ糖質をとらなければいけないの?
- オススメの食べ物は?
などの疑問をお持ちの方は、ぜひご一読頂けると幸いです。
【前提】糖質の基本知識
糖質とは
糖質と聞くと、脂質と並んであまり良いイメージを持っていない人が多いかもしれません。しかし糖質は非常に大事な栄養素であり、私たち人間のメインエネルギーとも言えるものなんです。
糖質は摂取された後にグルコースまで消化され、血液中を流れて全身を巡ります。血液中のグルコース濃度が「血糖値」です。血糖値が高まると、ホルモンの一種であるインスリンの働きによって細胞内に取り込まれ、様々な反応をへて「ATP」が合成されます。このATPこそが、人間が活動する上でのエネルギー源となるものです。
筋肉ではグルコースが筋細胞に取り込まれた後、筋グリコーゲンという形で貯蔵されます。筋肉が収縮するタイミングで筋グリコーゲンが更に分解され、ATPが出来上がります。
実は私、大学時代に大腸菌を用いて「ATP合成酵素」の研究をしていました!
炭水化物とはどう違うの?
炭水化物という言葉は日常でもよく耳にしますよね。
実は炭水化物とは「糖質」と「食物繊維」を合わせた総称なんです。
食品の成分表示を見てみると、「炭水化物」の欄に、その内訳が書いてあることがあります。
(糖質○g、食物繊維○g、といった感じです)
また、糖質(および糖類)は体内で消化される事でエネルギー源となりますが、食物繊維は消化できないためエネルギー源とはなりません。
糖質の吸収スピードを知っておく
GI値という言葉をご存知でしょうか。
GIとは「Glycemic Index」の頭文字であり、食品を摂取した際の血糖値の上昇度合いを数値化したものです。つまり、糖質の吸収スピードの指標とも言えます。
GI値が低いほど、血糖値の上昇が緩やか → 血糖(グルコース)が細胞内にゆっくり吸収される
GI値が高いほど、血糖値の上昇が早い → 血糖(グルコース)が細胞内に素早く吸収される
実際には食材の組み合わせや食べる順番などの要素によって、血糖値の上がり方は変わってきます。
食物繊維の多い食材は基本的にGI値が低い傾向にありますが、例えば先に野菜類や豆類等(低GI)を食べた後で白米(高GI)を食べる事で、血糖値の上昇を緩やかにしてあげることができます。
俗にいう「食べる順ダイエット」の考え方はここからきているのですね。しかし、摂取カロリー<消費カロリーでなければいくら食べる順番を意識しても太るので、そこはご注意を。
実際の食品のGI値については、大塚製薬のHPが非常に分かりやすかったので載せておきます。
【超重要】血糖値の急激な変動はなるべく避けた方が良い
これはダイエットをしたい人(=脂肪をつけたくない人)、筋肉をつけたい人の双方に共通する考え方になります。
血糖値が低くなると、人体は様々な方法で血糖値をあげようと奮闘します。中でも問題になってくるのが、筋肉を分解して血糖値をあげようとする反応です。つまり、血糖値が低い(=空腹)の状態をなるべく作らない事は、筋肉を減らさないためにも重要なことになります。
ダイエット目的の場合でも、筋肉が減る事はデメリットだらけ!
(例)基礎代謝・運動代謝の減少 リバウンドのリスク上昇…
血糖値が高まると、インスリンの働きによって血糖(グルコース)は細胞内(筋肉、肝臓、脂肪等)に運び込まれます。
筋トレ 等により筋グリコーゲンが枯渇している際はこちらへメインで供給されるのですが、大量に糖質が摂取され血糖値が急激に上昇した場合や、筋肉や肝臓内のグリコーゲンが十分満ち足りている場合には、脂肪細胞へと優先して供給されるため太る原因となります。
例外として、血糖値を一気にあげても問題ないタイミングもあるので、
それは後ほど解説します!
日常生活で意識すべき、糖質の摂り方
では、本題に入ります。
前項までで、
- 食べ物は、それぞれ糖質の吸収スピードが異なる
- 血糖値は高くても低くても良いことがない
ということがわかったと思います。
では、実際にそのことを普段の生活に落とし込むにはどうしたらいいのでしょうか?
1日の食事回数を増やす
まずは、目標摂取カロリーはそのままに、摂取する回数を増やすことが重要です。
ダイエットでもバルクアップでも、まず目標摂取量カロリーがあるのは同じこと。この目標値は変えずに、食事の回数を増やしていくんです。1日3食で目標カロリーを摂取していたものを、4食、5食と分割していくイメージです。
すると必然的に一度に摂取する糖質の摂取量が抑えられ、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。
また、食事の間隔が短いことで血糖値が下がった状態でいる時間を短くすることができます。
まさに一石二鳥のやり方、というわけですね。
1日の予定から逆算して、摂るべき食品のGI値を判断する
【前提】で紹介した通り、GI値とは食品ごとの「血糖値の上がりやすさ」を示す指標のことです。このGI値を具体的にどのように食事に生かすかというと、イメージとしては次のとおりです。
- 次の食事までの時間が長い場合 = 低GIの食品を多めに摂取
- 次の食事までの時間が短い場合 = 低GIの食品を少なめに摂取
- トレーニングまでの時間が長い場合 = 低GIの食品を多めに摂取 ※1
- トレーニングまでの時間が短い場合 = 高GIの食品を適度に摂取 ※2
これらを意識することで、なるべく低血糖状態に陥らず、エネルギーが枯渇しない状態で筋トレに臨むことができるようになります。
※1 あまりにも時間が空きすぎる場合には、さらに分割して食事を摂ることを検討した方が良いです。
※2 食事は遅くとも2時間前には取っておかないと、運動する事自体が大変になります。(次項で詳しく解説!)
効果的に筋トレに活かすには?
トレーニングを行うと、筋肉の収縮によって大量に筋グリコーゲンが消費されます。
この時、十分に血糖値を保てるほどの食事を事前にとれていなかった場合や、元々低血糖の状態で筋トレに臨んでしまった場合、
インスリンによって筋肉細胞内に血糖が取り込まれ、血糖値が低下
↓
筋肉を分解して血糖値を上昇
という現象が起こってしまいます。
これでは、せっかく筋トレをしているのに筋肉を減らすという本末転倒なことになってしまいますよね。
そのため、
- 筋トレ前の食事による糖質補給
- 筋トレ中のドリンクによる糖質補給
は大変重要になってきます。
1つずつ解説していきます。
筋トレ前の糖質補給: 筋トレまでの時間とGI値を意識
ここが最も重要になります。筋トレを開始する時間から逆算して、2時間前を目安に食事を取るようにしましょう。
筋トレ開始まであまり時間がないのであれば、GI値の高い食品を取るようにするなど、「筋トレまでの残り時間」と「GI値」を意識して食事内容を決定してください。
注意しなければいけないのは、「吸収の早すぎる糖質」を筋トレ前に摂取してしまうと、血糖値が急激に上昇→インスリンが過剰に働き急激に血糖値が下降ということが起こってしまうため、結果的に血糖値が低い状態でトレーニングに臨むことになってしまう点です。
筋グリコーゲンは補充されていても、血糖値が低くては筋肉の分解が起こってしまうので、これは避けるようにした方が無難です。
筋トレ中の糖質補給: とにかく吸収の早いものを摂取
筋トレ前と並んで重要となるのが筋トレ中の糖質補給です。
筋トレによって筋グリコーゲンが大量に消費されるため、放っておいては血糖値が下がり、筋肉自体の分解に繋がります。
そのため、なるべく吸収の早い糖質(マルトデキストリン※ 等)をドリンクに混ぜて摂取することが理想です。
筋トレ直前に吸収の早い糖質を摂取するのはあまりよくないとお伝えしましたが、筋トレ中は別です。
ドリンクに混ぜる糖質の量は、体重(kg表記)×0.8 g程度を目安にすると良いようです。
【例】体重85kgの場合 85(kg) × 0.8 = 68g
私も、筋トレ中に「BCAA+マルトデキストリン」の特性ドリンクを飲んでいます!
※マルトデキストリン
デンプンを加工して製造される。グルコースが複数結合した状態の糖。単体のグルコースよりは吸収が多少ゆっくりだが、甘みも少なく水によく溶ける。
筋トレ後の糖質補給: 吸収の早いものをタンパク質と同時に摂取
筋トレ後は、消費された筋グリコーゲンを速やかに回復させてあげる必要があります。前述の通りインスリンはグルコースを細胞内に取り込むホルモンですが、実はここでアミノ酸(タンパク質が分解されたもの)も一緒に細胞内に取り込んでくれます。
そのため、筋トレ後はプロテインと一緒に糖質も摂取することで、効率よく筋肉の修復及び筋グリコーゲンの回復ができるわけです。
また、筋グリコーゲンが枯渇しているこのタイミングであれば急激に血糖値が上がっても優先的に筋グリコーゲンの回復に利用されるため、無駄に脂肪がついてしまうリスクも低下します。そのため、吸収の早い糖質を摂取しても大丈夫というわけです!
ぺぐ の糖質摂取ルーティン
では、参考に私ぺぐの糖質摂取ルーティンをご紹介いたします。
体重85kg程度、ベンチプレスのMAX更新に向けて筋肥大を狙っているタイミングでの一例です。
摂取時間 | 摂取タイミング | 摂取内容 | 備考 |
05:30~06:00 | 朝食 | 納豆卵チキン丼(固定) | 昼まで時間が開くので低GIの玄米+もち麦。納豆も追加。 |
12:00~13:00 | 昼食 | 自由枠 | 外食では低GIを意識しにくいため、チキンや野菜を先に食べることを意識。 |
16:00~16:30 | 間食(筋トレ前) | おにぎりとか | 筋トレ実施の2時間前におにぎり(2個)、菓子パンなどで糖質補給。 |
19:00~20:00 | 筋トレ中 | マルトデキストリン +BCAA | マルトデキストリン 50gとBCAA 7gを水1.5Lに溶かしてワークアウトドリンクを作成。ちびちび飲む。 |
20:00~20:30 | 筋トレ後 | マルトデキストリン +ホエイプロテイン | シェイカーにマルトデキストリン 20g + ホエイプロテイン30gを入れておき、摂取。 |
21:30~22:00 | 夕食 | 自由枠 | なるべく低いGIの食品を摂取。 |
トレーニング中・後の糖質摂取については、前項での摂取目安(体重×0.8 g)を基準に、トレーニング中に50g、トレーニング後に20gのように分けて摂取しています。
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