バイオポリマーで持続可能な未来へ!微生物が作り出す生分解性プラスチックや、主要プレイヤーについて解説【カネカ:GreenPlanet】【三菱ケミカル:BioPBS】

テクノロジー
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ぺぐ
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こんにちは!ぺぐです

地球規模でのプラスチック汚染が深刻化しているという話を最近よく耳にしますよね。

例えば、毎年約800万トンのプラスチックが海洋に流れ込み、海洋生物に深刻な影響を与えているとのことです。

そんなプラスチック汚染に立ち向かう救世主となるべく、環境に優しい代替素材としてバイオポリマーが近頃注目されています。

バイオポリマーとは?

バイオポリマーは、自然界で生物によって生成される高分子化合物です。これにはセルロース、デンプン、タンパク質、DNAなどが含まれ、環境に優しい素材として注目されています。

バイオポリマーは生分解性を持ち、自然環境中で分解されやすい特徴があります。

ぺぐ
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ポリマーとは重合体のことで、バイオ(生体)が作り出す重合体だからバイオポリマー。

響きだけきくと、なんか危険そう(?)に感じる人もいるかもしれないけど、意味をしれば平気ですね!

バイオポリマーの種類と製造方法

主要な種類

  • PHBV(ポリヒドロキシブチレート-バレレート):海藻から作られ、完全生分解性を持つプラスチック代替品として注目されています。微生物による発酵プロセスで生産されます。
  • PHBH(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート重合体):カネカが開発した生分解性プラスチックで、土中だけでなく、難しいとされた海水中での生分解を実現。
  • PLA(ポリ乳酸)トウモロコシや砂糖きびなどの再生可能資源から作られます。食品包装や医療用具に広く利用されています。
  • PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)微生物によって生成されるバイオポリマーで、生分解性が高く、包装材や農業用フィルムに使用されます。
  • セルロース系バイオポリマー:木材や植物繊維から抽出されるセルロースを基にしたバイオポリマーで、紙や繊維製品に応用されています。

製造方法

バイオポリマーは、微生物による合成や植物由来の原料を利用して製造されます。例えば、微生物を利用して発酵プロセスでPHBVを生産する技術が進んでいます。また、PLAは乳酸を重合することで製造されます。PHAはバクテリアによる発酵で生産され、セルロース系バイオポリマーは木材や植物から化学的に抽出されます。

バイオポリマーの応用例

食品包装

セブンイレブンでは、環境配慮型素材のストローを導入しています。

セブンイレブン/「セブンカフェ」ストローを環境配慮型素材に変更 | 流通ニュース (ryutsuu.biz)

また、JALの国際線機内食容器にはリユース可能な生分解性バイオポリマー製の容器が採用されています。

JAL国際線機内食に、リユース可能な生分解性バイオポリマー製の容器採用 | AIRLINE web -月刊エアライン×航空旅行- (ikaros.jp)

ぺぐ
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どちらもカネカさんの開発したバイオポリマーを使用しているんだね。後にも紹介しますが、カネカは国内で最もバイオポリマーの開発に力を入れている企業の1つです!

医療分野

エステーの手袋には、カネカ開発の生分解性バイオポリマー(GreenPlanet)が使用されており、医療分野での応用が進んでいます。これにより、使用後の廃棄が環境に与える影響を最小限に抑えることができます。

カネカの生分解性バイオポリマー エステーの手袋に採用 (gomutimes.co.jp)

繊維産業

セルロース系バイオポリマーは、繊維産業においても広く利用されています。例えば、リヨセルやレーヨンといった素材は、木材パルプから生成され、自然分解が可能です。

農業用フィルム

PHAを利用した農業用フィルムは、生分解性があり、使用後に土壌中で分解されるため、環境負荷を軽減します。

バイオポリマーと持続可能性

環境への影響

バイオポリマーは、従来のプラスチックと比較して、生分解性があり環境に優しい特性を持っています。例えば、PHBVは海洋中でも分解されやすく、マイクロプラスチック問題の解決に寄与します。

海藻から作るプラスチック代替品。完全バイオベースかつ生分解性のPHBVポリマーをBioticが開発 | Techable(テッカブル)

SDGsとの関連

バイオポリマーは、持続可能な開発目標(SDGs)と密接に関連しています。例えば、責任ある消費と生産(目標12)や気候変動への対策(目標13)など、多くの目標に貢献しています。

ぺぐ
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ESG投資という言葉があるくらい、環境意識の高い企業の価値は高まりやすい現代においては、SDGsの目標に寄与する製品開発は急務ですからね。そりゃ本気も出すわけだ!

バイオポリマーの課題と未来

バイオポリマーの発展には多くの課題が存在しますが、同時に未来には多くの可能性が広がっています。以下に、具体的な課題とそれに対する取り組み、そして未来の展望について詳述します。

コスト

課題:バイオポリマーの製造コストは、従来の石油由来のプラスチックに比べて高いことが一般的です。これにより、広範な商業利用が難しくなっています。
取り組み:コスト削減のための研究が進行中であり、バイオマスの効率的な利用や発酵プロセスの最適化が図られています。また、政府の補助金や規制緩和もコスト削減の一助となっています。

性能

課題:バイオポリマーは、機械的特性や耐久性において石油由来のプラスチックに劣る場合があります。特に、強度や耐熱性に課題が残っています。
取り組み:性能向上のための材料研究が進められており、ナノテクノロジーや複合材料の技術を利用して、強度や耐熱性を改善する試みが行われています。例えば、ナノセルロースを添加することで強度を向上させる研究が進行中です。

ぺぐ
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新製品開発には得てしてお金がかかるものですが、環境意識への対応から代替品として生まれてきたバイオポリマーなどは、「そもそもコストめんや性能面だけ考えたら通常プラスチックの下位互換」であるというところがスタートですからね。ある意味仕方ない。

生産技術

課題:バイオポリマーの生産プロセスは、効率性やスケールアップにおいて課題があります。特に、大量生産が難しいことが問題です。
取り組み:バイオリアクターの改良や新しい発酵技術の開発が進められており、生産効率の向上が図られています。また、遺伝子工学を利用して、微生物の生産能力を高める研究も行われています。

ぺぐ
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化学反応の連続で製造するプラントと違い、微生物といえど「生き物」を使う以上、生産工程は煩雑化し、コントロールも難しくなりますよね。以前記事にした「オリシロジェノミクス社」の長鎖DNA合成技術(RCR法)は、無細胞下での反応であるという点が評価されてモデルナに買収っされましたし、工業化・大規模化にとって「生物」がいかに難敵かがわかりますね。

市場の受容性

課題:バイオポリマー製品の市場浸透率はまだ低く、多くの消費者が高価格や性能面での不安を感じています。
取り組み:消費者教育やマーケティング戦略の強化が必要です。環境への配慮が消費者に訴求するための情報提供やキャンペーンが実施されています。例えば、セブンイレブンやJALの取り組みは、消費者への啓発活動の一環として機能しています。

ぺぐ
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小さくはじめて、慣れさせて、大きく展開する。時間がかかる取り組みですね。

バイオポリマー関連企業 主要プレイヤーは誰だ?

カネカ

でました、カネカ。これまで上げてきた例でもことごとくカネカの製品でした。

カネカは、生分解性バイオポリマーPHBHの開発に成功しており、植物油を原料として土壌や海洋中で分解されるため、環境負荷が低減されます。

Green Planet™(PHBH:3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート重合体)

製品名:Green Planet™

特徴:PHBHは植物油を原料とする生分解性バイオポリマーで、土壌や海洋中で水と二酸化炭素まで分解されます。耐熱性や機械的特性にも優れており、食品包装材や農業用フィルム、使い捨て食器など幅広い用途に利用されています。

カネカは、この素材を利用した製品を多数展開しており、包装材や農業用フィルムなどに応用されています。

ぺぐ
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植物油を原料とするため、原料自体も「エコ」といえますね。そのほかのものを原料とした生産も研究されているようです。

1990年代前半、カネカ高砂工場の土中から見つかった微生物がもとになっているらしいです。(構内でみつけるとか、すご!)

カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®︎でなぜ世界が健康になるの? | 株式会社カネカ (kaneka.co.jp)

三菱ケミカル

BioPBS™(バイオPBS)

三菱ケミカルは、バイオポリマーの一種であるBioPBS™(バイオPBS)の製造を行っています。

バイオPBSは、植物由来のコハク酸と1,4ブタンジオールを重合させて生産されるバイオプラスチックで、完全生分解性を持ちます。PBSは、一般的な生分解性樹脂の中では高い耐熱性を持ち、繊維などとの相溶性も高いという特徴を有しています。

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微生物が作り出すわけではないんだね。ただ、生分解性はもつから環境負荷は小さい、と。

DURABIO™(デュラビオ™)

また、同社はDURABIO™(デュラビオ™)という植物由来のイソソルバイドを主原料とするバイオプラスチックも製造しています。こちらは生分解性はないのですが、耐久性に優れた新規バイオポリカで、多様な用途への展開が可能となっているようです。

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生物由来のバイオプラスチックでも、生分解性は持たないものがある。

逆に半分だけ生物由来の原料で作るバイオPBSは、生分解性を持つ。

「生物が関連しているプラスチックらしいよ」という考えではなく、「どうやって作られるのか」「生分解性はあるのか」という視点を持って考えるようにしたいですね。

まとめ

バイオポリマーは、環境問題の解決に向けた重要な素材であり、その技術と応用範囲は日々拡大しています。日本の企業も積極的に研究開発を進めており、持続可能な未来の実現に向けて重要な役割を果たしています。私たちも、日常生活の中でバイオポリマー製品を取り入れることで、地球環境の保護に貢献することができます。

参考資料と追加情報

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