ブレインマシンインターフェース(BMI)は実用化される?【最新の研究内容】【侵襲型/非侵襲型について解説】

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はじめに

ぺぐ
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こんにちは、ぺぐです!

みなさんは、脳と機械をつなぐ技術、ブレインマシンインターフェース(BMI)をご存知でしょうか。

この技術は文字通り、機械やコンピューターと、人間の脳みそを接続することを目指すもので、例えば視覚を失った人々(眼球や視神経の損傷)に再び視覚を提供する可能性を秘めていたり、完全麻痺の患者が自分の腕を動かすことすら可能なものとしています。

今回は、そんなブレインマシンインターフェース(BMI)技術の現状と将来の可能性について探り、最新の研究成果や具体例を通してその驚くべき力を紹介します。

ぺぐ
ぺぐ

BMIと聞くと、よくある体重指標(BodyMathIndex)のほうを想像しちゃうね。

ブレインマシンインターフェースの基本概念

BMIとは?

ブレインマシンインターフェース(BMI)は、脳と機械を接続する技術のことです。具体的には、脳からの信号を読み取り、それを機械に伝えて操作するか、逆に機械からの信号を脳に送り込んで感覚を生じさせる技術のことを指します。

BMIの種類

BMIは、大きくわけて「侵襲型」と「非侵襲型」に分けられます。

非侵襲型BMI

非侵襲とは、人間の身体に重大な悪影響を及ぼす可能性の少ない方法であることを意味しています。例えばわかりやすい例でいえば、外科的な手術を施さず、頭の上にヘルメットのように装置を装着して、その上から人間の脳波を測定するというものです。

後述する侵襲型に比べると脳波の検出精度は落ちますが、安全性においてはある程度担保されるため、人間への実験では主にこちらが使われるのが一般的なようです。

【実用例】P300スペラー
点滅する文字列の中から被験者が注目する文字を脳波から特定し、文字入力を行うシステム。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ninchishinkeikagaku/14/3/14_185/_pdf/-char/ja

脳波を使ったBMI技術は、比較的簡単に利用できるものから高度なものまで様々です。例えば、点滅する文字列を見せることで特定の文字に注目した際の脳波(P300)を検出し、文字入力を行うシステムがあります。また、運動イメージをコマンドとして認識し、電球のオンオフや車椅子の操作、テレビの操作などを行う技術も開発されています。

しかし、コマンドの種類は限られており、より詳細な情報を読み取るためには、脳に電極を埋め込む(=侵襲型である)必要があります。また、非侵襲的な方法で脳に情報をインプットするのは非常に難しいようで、視覚屋にTMS(経頭蓋磁気刺激)を当てて眼内閃光を生じさせる研究がありますが、得られる情報は限られています。

侵襲型BMI

逆に侵襲型とは、人間の体に直接外科的手術を施し、例えば脳に直接電極を差し込んで脳波測定/入力を行うことを指します。

非侵襲型とは対照的に安全性は低下しますが、測定精度・入力精度は飛躍的に向上します。しかし、技術的な難易度の高さや倫理的な問題からも、主に動物実験(サルやマウスなど)で使用されることが多いようです。

ぺぐ
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そこはかとなくマッドサイエンティスト味を感じる・・・。

電極を脳に埋め込む技術は、全身麻痺の患者がロボットアームを操作して自分でジュースを飲むことができるようにするなど、著しい進歩を遂げています。

最近の研究では、麻痺のある患者の一部は、脳は正常に運動の命令を出しているものの、その命令が筋肉に届かないために体が動かないことがわかりました。これを応用し、脳に電極を埋め込み、命令を読み取り、それを筋肉に伝えることで、麻痺した腕を動かすことができるようになっています。

機械から脳への情報伝達

  • 感覚を司る脳の部位に刺激を与えて感覚を生じさせる技術。
  • 非侵襲的な方法(手術なし)は難しく、侵襲的な方法(手術が必要)での研究が進んでいる。
  • 例: ドーベルアイ。カメラ映像を脳に埋め込んだ電極から送ることで視覚を再現。

侵襲的な方法の研究

侵襲的な方法では、ウィリアム・ドーベルが開発したドーベルアイが有名です。

この装置は、サングラス型の小型カメラから得られた映像情報を脳の視覚屋に埋め込んだ電極に送ることで、視覚を再現します。64個の電極を脳に埋め込みましたが、実際に有効だったのは20個程度で、20ピクセル程度の解像度で映像を感じ取ることができました。それでも、全く視覚を失った人々が部分的にでも視覚を取り戻すことは感動的です。

ブレインマシンインターフェースはどこまで実用化されている?

最先端分野であるBMIは、まだまだ私たちの実生活に近いレベルまで浸透しているとは言えません。
しかし、世界にはBMIを研究開発している企業がたくさんあります。ここでは、それらの会社の研究開発の方向性や、どこまで実用化の目途がたっているのかを紹介します。

1. Neuralink (ニューラリンク)

Neuralinkは、テスラの創業者であるイーロン・マスクが2016年に設立したブレインマシンインターフェース(BMI)技術を開発する企業です。Neuralinkの目標は、脳に直接インプラントを挿入することで、神経疾患の治療や人間の知覚能力の向上を図ることです。

ぺぐ
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つまり、侵襲型BMIの開発に力を入れているんだね!

彼らの最初の製品は「Link」と呼ばれるデバイスで、脳の神経活動を記録し、それをデジタル信号に変換して外部デバイスと通信することができます。Neuralinkは、完全麻痺の患者が再び動けるようにすることや、アルツハイマー病や認知症の治療に革命を起こすことを目指しています。現在、同社はアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を受けるための臨床試験を進めています。

Neuralink — Pioneering Brain Computer Interfaces
Creating a generalized brain interface to restore autonomy to those with unmet medical needs today and unlock human potential tomorrow.

2. Kernel (カーネル)

Kernelは、脳の活動を計測し理解するための最先端技術を開発する企業で、2016年にブライアン・ジョンソンによって設立されました。Kernelは、非侵襲的な脳スキャニングデバイス「Kernel Flow」を開発しています。このデバイスは、光学技術を用いて脳内の血流と神経活動をリアルタイムで計測することができ、脳の健康状態や機能を詳細に分析することができます。

ぺぐ
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つまり、Kernel社は「非侵襲型」の装置を開発しているってことだね!

Kernelは、神経疾患の早期発見や治療法の開発、さらには人間の知覚や認知能力の向上に寄与することを目指しています。同社の技術は、医療分野だけでなく、教育やエンターテインメントなど幅広い分野での応用が期待されています。

Kernel | Home

3. Synchron (シンクロン)

Synchronは、ニューロテクノロジーを専門とする企業で、特に非侵襲的なBMI技術の開発に注力しています。Synchronの主力製品は「Stentrode」と呼ばれるデバイスで、脳に直接挿入せずに血管内に配置することで脳の信号を記録し、外部デバイスと通信します。このアプローチにより、外科的手術のリスクを減らし、患者への負担を軽減します。

ぺぐ
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胸部血管から専用デバイス(細長い)を挿入して、大脳まで到達させるんだって!

開頭手術を行わない分リスクは低く、侵襲型と非侵襲型の間くらいイメージだろうか。

Synchronの技術は、運動機能障害や麻痺を持つ患者が再び動けるようにすることを目的としており、現在、アメリカとオーストラリアで臨床試験が進行中です。彼らの革新的なアプローチは、BMI技術の普及と実用化に向けた新たな道を切り開いています。

The Brain Unlocked
Our vision is to transform medicine with unprecedented access to brain data. A breakthrough platform launching a new field of medicine.

ブレインマシンインターフェースの将来

BMI技術の進歩は目覚ましく、今後も期待されています。

視覚や聴覚の補完、完全麻痺の患者の運動機能の回復など、多くの可能性が広がっています。ムーアの法則の終焉に伴う半導体の性能向上の限界もあり、BMI技術は新たな情報処理パラダイムとして注目されています。

脳オルガノイドとBMI技術の融合は、なんかヤバイことになりそう・・・!

しかし、実用化にはまだ多くの課題があり、技術的および倫理的な問題が残されています。

ブレインマシンインターフェースの問題点

素晴らしい可能性を秘めたBMIですが、実際には様々な課題・問題点を抱えているのは事実です。
どんな問題点が指摘されているのか、見ていきましょう。

1. 技術的な制約

現在のブレインマシンインターフェース(BMI)技術は、脳の複雑な信号を正確に解読し、それを外部デバイスに伝達する能力に限界があります。脳の神経活動は非常に細かく、個々のニューロンの動きを正確に捉えるのは困難です。また、脳に埋め込む電極の数や配置にも制約があり、解像度や信号の正確さに影響を与えます。これにより、操作や感覚の再現が十分に行えない場合があり、技術のさらなる進歩が必要とされています。

2. 医療および倫理的な問題

BMI技術の普及には、手術のリスクや長期的な健康影響に対する懸念が伴います。脳に電極を埋め込む侵襲的な手法は感染症や出血、組織損傷のリスクを伴い、手術後の管理も複雑です。

3. コストとアクセスの問題

高度なBMI技術は高額であり、一般的な医療機関や患者が利用するのは難しい状況です。開発や製造にかかるコストが高いため、技術の普及には大規模な投資と経済的支援が必要です。また、特定の地域や経済的背景を持つ人々にとってはアクセスが制限される可能性があります。これにより、技術の恩恵を受けられる人々が限られるという課題が存在します。

4. プライバシーに関する問題

BMI技術は個人の脳活動を直接読み取るため、プライバシーに関する重大な懸念が生じます。個々の思考や感情が第三者に漏れるリスクがあり、これらのデータが不適切に利用される可能性もあります。例えば、商業的な目的でのデータ収集や、脳データのハッキングによるプライバシー侵害が懸念されます。これらの問題を解決するためには、厳格なデータ保護法や倫理ガイドラインの制定が不可欠です。

結論

ブレインマシンインターフェースは、脳と機械をつなぐことで、驚くべき未来を切り開く技術です。

視覚や運動機能を失った人々に新たな希望を与えるとともに、情報処理の新たな可能性を提供します。今後の技術の進展と共に、さらに多くの課題が解決され、実用化に向けた大きな一歩が踏み出されることを期待しています。

ぺぐ
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創作やSFの世界である、電脳正解への没入が可能となる未来も近いのかもしれないね!

この記事を書いた人

筋トレと生き物飼育が好きなサラリーマン、ぺぐと申します!
趣味周辺のテーマで記事を更新していきます。

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