【要約】生成AIで世界はこう変わる【今井翔太】【要点と感想】

自己研鑽
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こんにちは!ぺぐです。

最近耳にしない日はない「生成AI」という言葉。2022年末のChatGPTの発表を皮切りに様々なサービスが発表され、実際に使用した方であればその驚くべき性能に圧倒されたことは記憶にあたらしいでしょう。

今回は、そんな生成AIがどのように開発されてきたのか、どのような困難を乗り越えて今の形に至っているのか、また今後生成AIがどのように私たちの社会(仕事・私生活)に影響を与えると思われるのかについて、日本のAI研究最高峰である東京大学・松尾研究室所属の研究者である「今井翔太」さんが書かれた本を紹介します。

楽天ブックス: 生成AIで世界はこう変わる – 今井翔太 – 9784815622978 : 本 (rakuten.co.jp)

生成AIとは何か、どんな仕事が影響を受けるのか、そして創作の価値について、具体的に見ていきましょう。

ぺぐ
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この本をきっかけに東大松尾研究室に興味を持ちました。

今、松尾豊さんの著作も読み始めているところです。

1. 生成AI革命という歴史の転換点

生成AIとは何か

生成AIは、人工知能技術の一種で、文章、画像、音声などを新たに作り出す能力を持っています。

人間の脳のように深層学習(ディープラーニング)を行い、大量のデータから学習します。ChatGPTのような生成AIは、単なる模倣を超えて、学習したデータの本質を捉え、新しい形式の表現を生み出します。

最新の生成AI技術は、司法試験や医師国家試験にも合格できるレベルに達しており、特定のタスクでは最も賢い存在とさえ言われています。

過去のAIブームと現在について

実は、今回のAIブームは「第3次AIブーム」と言われいるようです。ということは、過去にも2回のAIブームがあったということ。

第1次AIブーム : 1970年ごろまで
「探索と推論」に特化したAIで、人間が機会に理解しやすいようなツリー構造でデータを提供し、問題を解いていくというアプローチだったようですが、実社会ではそのような単純な問題解決が役に立つことは少なく、ブームは下火となったようです。しかし、将棋やチェスといったゲームにおいてはこのAIの性能はすでに人間を凌駕する域に到達する力をもっていたようです。

第2次AIブーム : 1980年~1990年ごろ
ここでは、AIに知識を与えるということに重きをおいて研究がされたようです。人間が持っている様々なデータを大量にAIにあらかじめプログラムさせることで、正解を導き出すことを目指したようです。
しかし、正解となる知識の選別や、そもそも世界に存在する知識には限りがないことを原因に発展が見込めないと判断され、ブームはさっていったようです。

そのような過去の苦難を乗り越え、ようやく「ディープラーニング」の技術が発展し、第3次AIブームを迎えたというわけですね。

史上最速の社会変化

生成AIの登場は、非常に速い速度で社会に大きな変化をもたらしています。

例えば、ChatGPTが発表された直後、Googleは検索事業への影響を懸念して社内に厳重警報を発令しました。

マイクロソフトはすぐにChatGPTを検索エンジンに統合し、競争を激化させました。この技術の急速な普及と影響は、職業構造の変化を引き起こし、多くの職種がAIによって代替されるリスクが高まっています。

しかし、生成AIがもたらす脅威も無視できません。雇用削減や詐欺の増加などの問題も浮上しています。

2. AIによって消える仕事、残る仕事

全職業の47%に影響

生成AIの影響は、従来の見解を覆し、高学歴で高度なスキルを要する仕事にも及ぶことが分かっています。

オックスフォード大学の研究によれば、AIやロボットによる影響を受けにくい職業は高度な判断力や創造性、人との感情的対話が求められる職種であり、影響を受けやすい職業は作業内容が決まっているものが多いです。

また、オープンAI社とペンシルベニア大学の共同研究では、特に言語生成AIの影響が大きいとされており、エンジニアや研究者、デザイナーなどのホワイトカラー職が影響を受けやすいとされています。

かつて、ロボットの登場により工場での単純作業が効率化され、肉体労働者が大量に職を失うということが起こりましたが、今回は逆に、知能労働者にこそ失業の危険性があるということです。

仕事が奪われるとは限らない

AIの影響を受けにくい職業も存在します。

モラベックのパラドックスでは、人間が高度な作業を簡単にこなす一方で、AIにとっては簡単に見える作業が困難であると指摘しています。

例えば、服を畳む、物を探す、移動するなどの作業はAIにとって非常に難しいです。

これらの肉体労働を中心にした職業は、AIで代替するのが最も難しい職種であるとされます。

人間にとっては簡単な作業こそが、実は現時点での機械(AI・ロボット)にとっては難しい作業であるというのは何とも皮肉ですが、両者の得手不得手と適切に向き合っていくのが今後の世界では重用になってくるのかもしれません。

3. AIが問い直す創作の価値

生成AIの3つの創造性

生成AIの創造性については、マーガレット・ボーデンの定義に基づき、次の3つに分類されます。

・組み合わせ的創造性

・探索的創造性

・革新的創造性

生成AIは組み合わせ的創造性と探索的創造性を持ち、異なる概念を組み合わせて新しいものを生み出すことができます。しかし、革新的創造性に関しては欠けているのが現状です。

この創造性は既存の枠を超えた新たなルールを定義する能力であり、現在のAIはこのレベルに達していません。

しかし、今後の情報の蓄積次第では、人間からみたら「革新的創造性」をもったものと判断せざるを得ない芸術作品がAIによって生み出される可能性もあります。

人間ならではのストーリーが必要

創作は人の感情や思想を反映する行為であり、AIが生成したコンテンツはこれを完全に再現することは難しいです。

人間は各自異なる人生経験を持ち、それが創作に反映されます。

一方でAIの創作物は数値的なランダム性に基づくものであり、個人の感情や思想を映し出すものではありません。著者は、この個人の感情や思想が反映された創造的行為こそが真の創作と考えています。

さらに言えば、私たち人間自身が、「AIによる作品」「人間による作品」を並列して評価せよという状況になった際、「人間による作品」のほうを評価しがちであるという研究結果もあるようです。実際、SNSなどで活発に議論になっている「AI絵師」問題はその典型でしょう。

結論

本書「生成AIで世界はこう変わる」は、生成AIの技術的基礎と社会的影響について詳述しています。

生成AIの急速な進展は、私たちの社会や職業に大きな影響を与えていますが、その中でも人間の創造性や感情の重要性を再認識することが求められています。

これからの生成AI革命を生き抜くために、この本は非常に参考になる一冊です。興味を持たれた方は、ぜひ読んでみてください。

未来のテクノロジーと社会の変化を理解する一助となることでしょう。

補足:私なりの未来予測

現在の人間の言語はヒト対ヒトのコミュニケーション(発話・記述)を目的に進化・最適化されてきたものと思う。

生成AIもそうした現在の人間語を膨大な学習によって理解して表面上は意思疎通ができるようになったわけだ。

さらに、よりAIに正確な動作をさせるために「プロンプトエンジニアリング」という概念が生まれたように、今後はAIへの伝えやすさという点が言語の変化において重要視されていくのではと思う。(意図的にではなく、自然に)

平安時代、江戸時代、現代の日本語が異なるものであるように、現代語が古文と呼ばれるような未来では、人間語のほうが機械語に近づいて行っているのでは、と考えてしまった。

もちろん0と1だけで人間が意思表現することはスペック上不可能だと思うが、方向性としてあり得ない話ではないな、と思った。

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